129人が本棚に入れています
本棚に追加
/513ページ
(この城の中へ誰かが入ったことは、本当に一度もなかったんだろうか……)
城を、目のあたりにして思う。
私はどうしても森の奥深くにあるこの古城を訪れてみたくて、
禁じられたこの城の奥にある、その秘密が知りたくて、
好奇心を抑えることができなかった……。
長い間ずっと行くべきかを思い悩んで、ようやく心を決めてここまで来たはずなのに、いざ扉の前に立つと足が震えてすくんでしまい、なかなか一歩を踏み出す勇気が出なかった。
もう行くのはやめようかとも思い、踵を返そうとして、でもここで諦めて帰るなんてやっぱりできないと、
覚悟を決めて、目の前の閉ざされた重厚な扉に手をかけるとーー時代がかった鉄の扉が軋むような音を立てて、ギィー…と大きく両側に押し開けられた……。
最初のコメントを投稿しよう!