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第一章 桜が咲くにはまだ早い 〈2000年2月〉
バン!
後頭部をはたかれて、目が醒めた。
机に突っ伏して寝ていたところを思い切りやられてほっぺたが痛い。
起こし方考えろ!
なんかいい夢見てた気がするのに、全部とんだぜ!
どうせ秀のやつだとわかっていたから、振り向きざま睨みつけた。
「サク、おまえ、ほんといつも寝てるなー」
俺のガン付けなど痛くもかゆくもないのか、癒し系のテノールが上から降ってくる。仕方なく、睨むのをやめ言い訳じみたことを返してしまう。
「昨日遅くまでロケだったんだよ」
伸びをする俺の前の席にあたりまえのように座る。秀、おまえのクラスは隣だ!
「今なにやってるんだ」
「・・・目撃者」
面倒だが答えるまでしつこく聞かれるのはわかっている。
「ああ、4月の連ドラか、小坂美波主演のサスペンス風だけど実はコメディってやつね。女どもが絶対見るって騒いでたな。へえ、話題作じゃん」
説明してくれなくても俺の方が知ってる・・・。
「大した役じゃない、毎話10分もでないし・・・」
高校までは学校と両立が親父の方針だから、俺の仕事は長期休み以外はかなり絞られている。それも、親父の威光とういか七光りが効いてるから通る我が儘だけど・・・。
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