第1章 シロツメクサ

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第1章 シロツメクサ

「はじめまして!草風 奏と言います!皆さんよろしくお願いします!」 満面の笑みで微笑んだ転校生。後ろで女子がキャーキャー喚き散らすのが聞こえる。 うるさい。無駄に甲高い雑音が耳にキーンと響く。私はこっそり耳を塞いだ。 その後は特別に質問タイムだったらしいが、特に興味のない私は教室一番前の席でも窓の景色を見ていた。稲穂が風に揺れ、波打つように風になびく。永遠と見てられる心地よさ。私はこの景色が好きだ。 「ねーえー。鈴ちゃん!次は鈴ちゃんの番だよ~。」 『え?』ふと後ろの声に驚き正面を見ると自分の顔をまじまじと見る転校生が目に入る。多分質問を回しているのだろう。特に聴きたい事もないため、だからと言って目立たないような無難な質問をした。 『なんと呼べばいいですか?』 「気軽にかなでって呼んでよ!すーずちゃん!」ニコッ 表面だけ取り繕ったような安っぽい笑顔。反吐がでる。とりあえず適当に笑いかえす。 ああ、苦手だな。この人。
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