第1章 シロツメクサ

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私と転校生の相性が合わないことがわかったところで、チャイムが終わりを告げた。 次は移動教室。しかも隣の館だから急がないと。転校生の机を取り囲むみんなを置いて、足早にその場を後にした。 扉を開けると私が最も関わりたくない人がいた。 「うわっ。新学期早々顔見ちゃった。吐きそーなんだけど笑笑うえー。」 「おいおいやめろって気持ち悪りぃ」 小声でそっと蔑むそいつは、私の黒歴史の源。村本だ。 掘り返したくないからわざわざ遠くの学校にしたのに。全くなんの嫌がらせだか。 それに、まだ続けてるのか。こんなこと。 持っている教科書に顔を埋め、誰とも目線を合わせないように俯き、急いでるふりをして少し廊下へ駆け出す。 昔は泣いてばかりだった。でも何も聞いてないふりをすれば嫌な思いをしなくてすむ 。廊下でヒソヒソと噂する声が聞こえる。 「ねえ、村本君とどんな関係なの?あの子。」 「バカ。知らないの?小中で村本君を虐めてたやつよ。本当、外見と同じで性格も最低な奴だよ。ここらじゃ有名なんだから。」 虐めてた、か。少し歩く速度を上げつつ、髪で顔を隠した。 結局何も変われないのかな。もう嫌なのに。久しぶりにまた、不安な感情が芽生えてきた。 その後、転校生を取り囲んでいたクラスメイト大半が授業に遅れることになった。 先生からのお叱りは授業の半分を使ってしまうほど機嫌が悪かったらしい。 それから授業を受けて気がつけば下校時間になっていた。 家の方向が同じ人がいないため、必然的に一人にはなるけど別に寂しくはなかった。 ヘッドホンをかけて下駄箱へ走る。のんびりしていたら随分と遅くなってしまった。 (ジャリ) 私の靴に触れた時、砂の音が聞こえた。 見れば靴の中に目一杯の雑草と泥が盛られている。 残念ながら、キャーキャー言うほどビビリではない。 『画鋲じゃないだけマシか。』 それが私の第一声だった。こんなもので泣くとでも思ったのかな。そんな風に考えてしまう私は呑気なのか。おかしい奴なのか。自問自答が尽きなくなる。たまに自分で自分がわからなくなる。 ローファーの底に雑草の気味の悪い汁が滲む。早くすすがないとシミになりそうだな。 ゴミ箱の近くまでスタスタと歩き、靴をひっくり返そうとする。その時だった。
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