第2章

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(その時の僕に言いたい。スペインに行くなって)  スペインの地での晴の目的は光輝とサグラダファミリアにいき、ここが未だに建築を続けるように自分たちも絆をもっと深めて関係を作り続けようと伝えたかった。そして確かな繋がりとして光輝にお揃いの時計を贈るつもりだった。自分の腕には真新しい腕時計。鞄の中に光輝のものが入っていた。  スペインの地で観光をした最後にライトアップされたサグラダファミリアの前に到着した晴と光輝は2人並んでその建築物を見つめた。   「なぁ、晴、ここってもう100年以上建築を続けているんだよな~」 「そうだよ、だから俺たち「決めた、俺にも続けていきたいことが決まった」」 「えっ、何?」 「俺、戦場カメラマンになるよ。ここにはいつか出来上がるっていう希望がある。俺もその希望を掴む為に戦場に行ってくる」 「なんで、希望が戦場なんだよ!」    訳の分からない状態に晴は混乱を極めた。 「俺にも分からない、でも、きっとそこに希望があると俺の勘が言ってる」 「光輝……」  瞳を輝かせて話す光輝に晴は言葉を失った。説得力の全くない言葉に返す言葉はなかった。  晴には関係を続けていく象徴でも、光輝には希望を生み出すものでしかないのだ。すでにこの関係に疲れて次の確かなモノが欲しかった晴には光輝を止める力は無かった。そしてなすがままを受け入れ、その旅を最後に晴は光輝との別れを決めた。もちろん、腕時計が光輝に渡ることはなかった。  ハッと目覚めるとそこはワンルームの自分のシングルベットの上だった。 (この夢、久しぶりに見たな~) 「ふう、あれから12年かぁ~、光輝は何してるんだろうな~」    身体を投げ出して昨日の格好のままで眠っていた晴は、天井を見上げ大きなため息を付いた。一度起き上がり凝り固まった肩を解すとキャメルのデニムジャケットを脱いでもう一度ホワイトカットソーにカーゴパンツの状態で横たわった。  
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