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心当たり
「わかりました。まずはお子さんの特徴を教えてください」
みのりに向かって憂いを含んだ、しかし優しい瞳でそう伝えたのは人気アトラクションのスノーストーム・キャッスル前で案内をしていた男だ。兵士の格好をしたその男の胸には有田というネームプレートがつけられている。
「黄色のポロシャツに黒のハーフパンツ。そして、青色のポシェットを腰につけています。靴は白です。身長は確か110センチです」
みのりは今にも心が壊れそうな沈痛な面持ちで有田に告げる。
「かしこまりました。まずは迷子センターに連絡してみます」
有田はそう言うと、手持ちの携帯電話のボタンを押し始めた。
「もしもし。6歳の男の子が迷子になっているという連絡が入ってるんですが、そちらに連絡は?特徴は黄色のポロシャツに黒のハーフパンツ……わかりました。また何かありましたらお願いします」
有田は残念そうな表情で電話を切る。
「まだ迷子センターには連絡がないそうです」
「そうですか……」
みのりの顔が今にも泣き出しそうなものに変わる。
「大丈夫です。手分けして捜しましょう!まだ遠くには行っていないはずです」
力強い有田の声に励まされみのりは無言で頷くと、和樹を捜しに駆け出していった。
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