136人が本棚に入れています
本棚に追加
/559ページ
すぐに足音はメルたちの四歩前で止まり、男たちの一団が霧の中から姿を現わした。
武装した十人足らずの男たちだ。
メルはこそっと騎士の陰に隠れつつ、男たちを観察してみる。
年恰好は様々で、まだ幼さの残る少年もいれば、髭面の壮年もいる。
どうやら戦士の集団のようだ。
が、身に帯びた装備は、剣やら斧やら槍やら一人一人違っていて、統一感はまるでない。
浮かべた表情も色々で、眠そうな中年に緊張みなぎる若者と、何から何までごちゃごちゃの一団だ。
共通しているのは人間の男だ、ということくらいのものだろう。
そんな寄せ集めの先頭に立つのは、ランタンを掲げた男。
黒光りする鎧に身を包み、背中に大剣を背負った戦士だ。
年かさは、ネウィルよりも少し上に見える。
練磨の戦士らしい風格が、黒い髭の生えた顔に漂う。
その戦士が、ネウィルに声をかけてきた。
よく通る低い声に、メルの羽織るマントがびりびり振動する。
「あんた方、ここで何してる? 見かけない顔だが、このロアルに何しに来た?」
聞き覚えのない訛りがある共通語。
警戒心も露わな目をネウィルに向けながら、戦士が堂々と、しかし非友好的に問う。
対する騎士ネウィルも、戦士に向かって泰然と答える。
最初のコメントを投稿しよう!