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「アルジェンテーヌ公爵のお召しにより、たった今、西大陸からこのロアルへ到着した者だ。謁見のため、公爵の館へ参る」
「すると、あんたがあの噂に名高い“緑衣の騎士(ナイト・イン・グリーン)”ってワケか」
戦士の顔に、驚きの色が浮かんだ。
ランタンを持ったまま腕を組み、怪訝な顔を崩さずに戦士が軽くうなずく。
「話は側仕えのエルマンから聞いてる。『今日明日の内に緑衣の騎士が現われるハズだから、会ったら連れて来い』、ってな」
「それならば話は早い」
ネウィルもうなずいた。
肩越しにチラリとメルを一瞥して、戦士に言う。
「連れの消耗が激しい。一刻も早く、館へ行きたいのだが」
「いいだろう。館は知ってるか? すぐ近くだけどな」
ネウィルが無言でうなずくと、戦士は居並ぶ男たちの一人を指差した。
革の鎧と手槍、それにランタンを持った少年戦士。
無造作な黒髪と、幼さの残る黒いまなこが印象的だ。
「一応、お前がついてってやれ。俺たちは夜警を続ける。後で合流な」
「りょーかいっス」
軽く答えた少年戦士をこの場に残し、大剣の戦士は男たちを引き連れて去っていった。
霧の奥へと再び消えてゆく戦士の一団を見送って、少年戦士がネウィルを見上げた。
ネウィルはもちろん、メルよりもかなり年下のようだ。
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