第一章 緑衣の騎士への招待状

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「繰り返しになりますが、お返事は『期日までに行動で示せ』、との閣下の仰せです。よろしいですね? “緑衣の騎士(ナイト・イン・グリーン)”ローサイト卿」 「分かっている。銀龍女公には、よしなに伝えろ」  はっきりうなずいた騎士を見て、エルマンがにっこりと笑顔を浮かべた。  悪意らしい悪意は全くうかがえない、屈託のない笑みだ。  そんな無邪気な表情のまま、彼が再びメルに黄色の視線を向けてくる。 「それではごきげんよう、メル嬢。そうだ、あなたもぜひ、ローサイト卿とともにロアル城市へお越し下さい。我が主は、必ずやあなた方を歓待するでしょう」 「あ、はい。ありがとうございます……」  一応お礼はしたものの、メルの声は戸惑いに満ちた生返事以外の何者でもない。  しかしエルマンは、意に介さないようだ。  彼は笑顔のまま、大げさな動作でお辞儀を一つ残し、この古い館を颯爽と立ち去った。    がらんとした玄関広間に再び静寂が充溢する。  染み入るような夕刻の静けさに、メルはほっと安堵した。  が、彼女の頭の中は、山盛りの疑問符で破裂しそうだ。    ……あのエルマンって、どういうひと?   何しにうちへ来たのだろう?   それにロアル城市ってどこで、統治者の『銀龍女公』って誰だっけ?   招待状って何のこと?   大体、ネウィルがうちに来てるのって、どうして?     
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