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もったいぶったまま、ぷいとどこかへ行ってしまって、そういうところは昔からちっとも変わらない。
しかしメルは、ふるふると首を振り、大きく息を吸う。
そして吐く息とともに、胸の滓も掃除したつもりで、メルは手の中に残った招待状を改めて取り直した。
ネウィルがこの招待状をメルに預けたままだということは、たぶんきっと、メルに読んでおいてほしい、という意図の表われだろう。
些細なことだけれど、ネウィルが招待状をメルに隠さなかった、そのことがちょっぴり嬉しい。
わずかに頬の緩むのを感じつつ、メルは開封された封筒から、二つに折られた紙を取り出した。
純白の便箋からも、甘い香りが立ち上ってくる。
これは、確か麝香の匂いだ。
メルは、芳香の漂う便箋をそっと広げてみた。
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