序章

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 異なる神に仕える十三人の法王たちが、月番で務める最高権威“首座総裁”。  “大海月”の今月は、この海の神の女法王が首座総裁の番だ。  少女はそんな最高権威者を前に、小首を傾げた。 「えと、つまりどういうことですか?」  重ねて問われた女法王が、わずかな笑みを口元に浮かべる。 「つまり、あなたに神代レテ文字の史料の翻訳をお任せしたい、ということです。もちろん、いつもの書記のお仕事もあるでしょうし、特別急ぐ訳でもありません。本当に手の空く時に、少しずつ続けて頂ければ、それで構いません。受けて頂けますか?」  ……ああ、大切な仕事を特別に任された!  言いようのない嬉しさと誇らしさが、少女の胸に広がってくる。 「えと、あ、はいっ! やらせて下さい! お願いしますっ!」  ぺこっと頭を下げた自分の顔が、つるつるの床に映る。  胸元に揺れる、一本に編み込んで胸元に垂らしたプラチナブロンドの髪。  円らで大きな、エメラルドグリーンの瞳、そして穏やかで理知的な、スッとした眉。  華やかさはないものの、均整の取れた愛らしい顔立ちの年頃の乙女だ。  パッと顔を上げた少女に、首座総裁が微笑んでうなずく。 「こちらこそ、よろしくお願いしますね」     
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