第一章 緑衣の騎士への招待状

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 早鐘を打つ胸をそっと押さえるメルに、ネウィルが低く抑えた、しかし力を込めた口ぶりで、静かに告げる。 「この依頼、一筋縄ではいくまい。今は想像し得ない、得体の知れない事態が幾つも起こるだろう。だが何があっても、お前の事は俺が最後まで守り切る。必ず、無事にこの館へ送ろう」 「あ、えと……」    ネウィルの真っ直ぐな言葉が、メルの胸の奥底に深く突き刺さる。  声にも出ない嬉しさが、じんわりと全身を包む。  両手の指先は甘く痺れ、自分の胸のばくばくが耳を熱く塞ぐ。  伏せたままの顔が灼けるのを感じつつ、メルはメロンに視線を逃がしたまま、こくこくとうなずく。 「うん。ありがとう、ネウィル……」
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