第一章 緑衣の騎士への招待状

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七    緑衣の騎士ネウィルを助けるため、メルがロアル城市への旅立ちを決めた、次の日。   メルは丸一日をかけて、中央万神殿での根回しに奔走した。  今度もいつ戻れるか分からない、長い休務になる。  姉と慕う神官クラウや書記の仲間たち、それに今月の首座総長にも、事情を説明して回ったメルだった。     メルが話す誰もが、『緑衣の騎士の手助け』それに『銀龍女公の依頼の解決』ということで、快く送り出してくれる。  当然のことながら、首座総裁の承認も、しっかりと取り付けた。    そして、すべての準備を終えた翌朝早く。  砂子の振り撒かれた藍色の空の下、旅装のメルは、住み慣れた古い館の前に立った。  東の空がほの白い。  だが日輪が新たな一日をもたらす夜明けまで、まだ時間がありそうだ。  夜の帳の上がり切らない今、この神殿集落はまだ眠りの中にある。  目の前には、星明かりが夜の中から切り出した母の姿だけが、凛と佇む。  見送る者の姿は、他には見えない。  時間のせい、といえばそのとおりだが、父マルクセスもいないのは、メルにとってはやはり寂しい。  一応、旅立ちの許しは得たものの、安定志向の父は、探索とか冒険にはいつも否定的だ。     
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