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そして、正面の窓辺に佇む、銀髪の美女。
その紅の視線は、じっとガラス窓の彼方を眺めている。
円卓の前に立ったネウィルが、窓辺の美女に向かって腰を屈めた。
「ネウィル=ブラン=ローサイト、お召しにより罷り越してございます。銀龍女公」
騎士の丁重な言葉に、その銀髪の美女、銀龍女公が初めて向き直った。透けるように白く、整い過ぎた貌は、何か無表情を装っている。
だが、その切れ長の目許や、ラベンダーの口許には、隠し切れない喜びが溢れ返っているのが、メルにも分かってしまう。
「よくぞ参られた、ローサイト卿。我が求めに応じてくれて、嬉しいぞ」
銀龍女公が窓辺を離れ、ネウィルの方に静々と歩み寄ってくる。
優美で均整の取れた体のラインを強調する、すっきりとした灰色のドレス。
高い襟や裾、それにゆったりとした手首には、銀糸の刺繍あしらってある。
ぱんぱんに張り切った胸元は大胆に開き、深い深い谷間が、悩ましくも露わになっている。
さらに、襟首から華奢な鎖骨までを飾るのは、恐ろしく豪勢な幅広の首飾りだ。
輝くようなカッティングを施された透明な宝石が、銀の鎖で幾つもつなげられている。
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