火曜日

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手術後の回診を終え、車で帰宅。 カーポートに車をバックさせている時点で何故か違和感を覚えた。 車から降りて、玄関の方へ。 あぁ、これが違和感の原因だ。 感知式の外灯以外、家の電気が一つも点いていない。 どうしてなんだ? まだ帰ってきていないのか? それとも、寝てしまっているとか? 何かに引っ張られるよう急ぎ足で玄関に向かい、扉に鍵を差し込んで開けると、上り框で猫のカンコが僕を出迎えてくれた。 「おまえだけなのか?」 そう声を掛けると、カンコが「アーン」と返事をした。 何かあったのだろうか。 いつもこれくらいの時間に仕事を終え帰ってくると、夕食の美味しそうな匂いが漂ってきて、玄関を開けた途端に愛娘、陽菜(ひな)の駆け寄ってくる足音が聞こえてくるのに。 そして、「パパー」という声とともに抱き付かれ、妻、明里(あかり)さんが「おかえりなさーい」とエプロンで手を拭きながら出てきてくれるのに。 そこには、人がいなかったことを示す寒々とした空気が充満しているだけだった。 腕時計を見るともう九時を少し過ぎている。 違和感が何とも言えない不安感に変わった。
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