火曜日

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いや、もしそうであっても免許証を持っているし、たとえそれをどこかに忘れて車に乗ったとしても、車検証は常に車に載せてあるし、ナンバープレートからも所有者はわかるから、必ず警察から僕の所に連絡があるはずだ。 だったら、人に発見されないような場所での事故とか? カーブから谷底に落ちるような。 いやそれは考えにくい。 明里さんが通勤する恵賛会(けいさんかい)病院も陽菜が通う帝塚山(てづかやま)保育園も、いつも買い物をするスーパーまで、全てが奈良市内の市街地にある。 生活圏内に、大きな事故を起こしても人に発見されないような所は見当たらない。 でももし事故に遭って意識をなくしているのなら、すぐには連絡がこないかもしれない。 などと考えを巡らしている時に、突然家の固定電話がけたたましい音をたて始めた。 やっぱり何かあったのか? 明里さんなら家の電話ではなく僕のスマートフォンにかけてくるはずだ。 他の人達も最近は皆、スマートフォンにかけてくる。 壁に掛けてある時計を見るともう十時だ。 こんな時間に家の電話が鳴る事はめったにない。 警察からなのか? もしかして病院からとか……。 僕は慌てて立ち上がり受話器を取った。
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