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「えっ……、あっ……じゃあ……、もしこの子が元気になったら、僕とお付合いしてもらえませんか……」
つい勢いが余って、僕はそう言ってしまった……。
デート一日目で、しかも病院の処置室で……。
明里さんはうつむいてしまっている。
突然すぎるよな……。
「嫌……」
明里さんは両手で顔を覆い、首を横に振っている。
あぁ、やっぱりダメか……。
「すみません、そうですよねぇ。初めて二人で会った日に、しかも処置室なんかで言う事じゃないですよね」
「嫌だ……、エィークション! あぁ、やっぱり、ごめんなさい」
「はぁ……。や、やっぱり、そうですよね……」
「いや、そうじゃなくて。くしゃみをしてしまって」
「えっ?」
明里さんは顔を上げ、微笑みながら僕の目を見て言ってくれた。
「上武先生、こんな私でよければ、よろしくお願いします」
僕は嬉しくて嬉しくて、両手を上げようとしたが、ふと思い出し、途中でその手を下ろした。
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