第二章 野球バカ

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【高校一年・夏秋】  一年の夏。  甲子園大会の地区予選はベスト8で終わった。  この頃には大沢も徐々に怪物ぶりを発揮するようになっていた。  バッティングは大味だが、確かに底の知れないポテンシャルを感じさせていた。  そして雑なバッティングとは違い、捕手大沢秋時には堅実さがあった。その上、目を疑うばかりの強肩の持ち主だったのだ。  俺のピッチングも大沢が受けることで、よりレベルアップした。  俺たち新チームは、秋の新人戦で県のベスト4まで勝ち進んだ。  三位決定戦で負け、東海リーグには出場出来なかったが、地元は大いに盛り上がった。    新人戦では俺も大沢も打ちまくっていた。 「打線の中軸を担う驚異の一年生バッテリー」  地方紙では特集を組まれるほど、注目され始めていた。  南洋市の高校は、いまだ一度も甲子園出場を果たしていなかった。  まだ一年の俺や大沢の活躍に、地元の期待は一気に膨らんだ。  ~ 南洋から初の甲子園出場 ~  グランドには連日たくさんのギャラリーが詰めかけた。  練習の合間にマスコミの取材を受ける。  まるでアイドル扱いだった。    俺はそんな毎日を当然のように送っていた。     この高校一年の秋が・・・  たった十六歳だったこの時が・・・  今思えば、この時が俺の野球選手として最もチヤホヤされた時期だったのかも知れない。
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