第三章 捜査本部

10/13

155人が本棚に入れています
本棚に追加
/433ページ
  「め、珍しいな。突然どうした ?」 動揺がもろに声に顕れた。 ・・・クッ ! まったく情けない ……水野に対する気後れだけは、いくつになっても変わらんな。 『3303だ』 「えっ ?」 『監督のマンション、調べてるんだろ ?』 「・・・トシから訊いたのか ?」 『ちょうど同じテーブルで飯食ってたところだ』 選手サロンでランチ中だったのか ? 「そ、そうだったのか ……だが ……無断で個人の情報をそんな簡単に他人に教えてよかったのか ? 」 ・・・3303 『お前だって個人の情報を一般市民にそんな簡単(・・)には訊かないだろ ? 』 ・・・ 「俺が千葉の住居を知りたがってる。その理由は訊かないのか ?」 『特に関心もない』 「・・・そうか」 ・・・俺は …… 「俺は今から違法な捜査をするかも知れない ……その為に千葉の住居をトシに訊いた。そして結果的にお前を利用したような形になった ……」 どういうわけか、本当の事をそのまま正直に口にしていた。 『違法だろうが合法だろうがどうでもいいさ。稔成が俺に “ タカさんの大事な事なので、知っていたら教えて下さい ” って言った。だから、俺はすぐにお前に知らせようと思った。ただそれだけの事だ』 ・・・そうか、それだけのこと ……か 相変わらず透かした野郎だ。 『それに』 「ん ?」 『あのマンションの33階に千葉さんが住んでいるってのは、マンションの住人ならみんな知っている事だ。大した個人情報でもない』 「詳しいんだな」 『あのマンションは俺も何回か訪問してる。住人に身内がいるんでな』 ・・・身内 ? 「・・・すまんな。とにかく助かった」 『気にするな』 「今、急ぐんでこれで切らせてもらう ……恩に着る」 『・・・下村』 「ん ?」 『お互い落ち着いたら飲みたいな』 「・・・ああ、落ち着いたら」 『じゃっ』 切れた。 ・・・変わらないもんだな 18歳で ……初めて会った時から20年。 ずっとスーパースターで ……ずっと透かした野郎のままだ。 しかし …… 違法な捜査か。 思わず本音を言っちまったが ……あいつは歯牙にもかけなかったな。 ん ? ・・・そうか、違法捜査か
/433ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加