第一章 負け犬

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 冷凍された枝豆を電子レンジに突っ込み、冷蔵庫からビールを出した。  帰り道、居酒屋によって晩飯を済ます生活を送っていたが、車通勤なので酒が飲めない。毎日アルコールが欠かせない訳ではないが、飯前にビールくらい飲みたくなる。    家に帰って食べる方がいいと思い始めた。  かと言って帰ってすぐ料理、という気にはならない。だから冷凍庫にはたっぷりと冷凍食品が詰まっている。  餃子、シューマイ、唐揚げ、チャーハン、パスタ、ラーメン、あんかけ焼きそば、お好み焼き、ハンバーグステーキ、コロッケ、焼き鳥・・・etcetc.  美味い不味いにこだわりが無いわけではないが、最近の冷凍食品は結構いける。  シューマイやチャーハンなんかは、下手なファミレスで出すものより旨いと思う。    美味く食べるポイントはひとつだけだ。  袋に書いてある作り方、温め時間を厳守する事。  それを守れば、今の冷凍食品のクオリティは相当高い。  美味い魚や揚げ物が食べたい時だけ外食すればいい。    これをバツイチ男の侘しい食生活とも感じていない。  祥華がいた時も、冷凍食品率は結構高かったような気がする。    ビールと枝豆をサイドテーブルに置き、背中からソファーに倒れこむ。  二人がいなくなってから、キッチンテーブルは使わなくなった。  家に居る時は、ほとんどソファーで過ごす。  そのまま眠り込む事も珍しくない。  ビールを喉に流し込み、サイドテーブルに置いてあった警電を開いた。  昨日から白い着信シグナルの点滅には気づいていた。  事務方の業務通達。  事件性のある緊急連絡は赤い点滅。  これを放置すれば懲罰ものだ。  だいたい緊張連絡は、メールで確認する前に電話で呼び出されているが・・・   人事課からの通達。  『昇任試験、結果通知』    ・・・きてたのか    ・・・      ・・・また面接で落ちた    これで10年連続だ    ・・・負け犬か  
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