0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
席に戻ると、当たり前だけれどやっぱりバレンタインの話で盛り上がっていた。誰が何個もらったとか、誰にもらったとかいった話だ。
「涼一は、もうもらったんだよな」
中村が嬉しそうににやにやする。そういえば、まだその話をしていなかったことを思い出して、うどんをすすってから話し出した。凛々花から何かをもらったこと、それからそれがチョコなのか爆弾なのかわからないこと。一気に話し終えるとほー、という声が帰ってきた。
涼一以外の5人で多数決を勝手に取られる。中身がチョコだと思うのが3人、爆弾なのが2人。1人は科学部で凛々花の悪評を知っているやつだ。照れ隠しでそういったに違いないという意見に、それでもあの佐々木凛々花だぞ、という意見がぶつかった。ちゅるる、と残りのうどんをすする。なんだかんだ言って、最終的にはチョコレート以外の何か、という回答を導き出すのに時間はかからなかった。
教室に戻る5人に、声をかけて凛々花の教室によった。
やはり凛々花はいなかった。
気がつけば、放課後になっていた。
すっかり忘れていたけれど涼一は、今日日直当番だった。忘れて隣の女子に任せきりになっていたので、帰りの日誌書きと黒板の雑巾掛け、担任の荷物の持ち運びなど残りの仕事を引き受け、一人で居残る。
最初のコメントを投稿しよう!