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「待ってよ二人とも、こんなところに僕一人置いてかないでよ」僕は高く登っていく二人に声をかけた。
「大丈夫大丈夫、ほら、こっちの方角にジャングルが見えるから」ブラカスちゃんが指さして言った。
「すぐ近くだから便器ちゃんも後からゆっくり歩いてきなよ。まだ足跡もくっきり残ってるからきっと迷わないよ~」エメドラちゃんも言う。
「ま、まってよ~」
僕の声はもう二人に届いていないのか、二人は上空をフラフラと漂いながらドンドン離れていった。
「ひどいよひどいよ二人とも・・・・・・」
僕は悪態をついて地面を見た。確かに僕らが歩いてきた足跡がくっきり残っている。
「しょうがない、暑さが苦手なズルンズなんだから分かってあげなくちゃ」
僕は諦めて自分の足跡を追ってトボトボ歩き出した。
砂漠を歩き出して30分くらい経った。行けども行けども砂漠の景色は変わらない。たどっていた足跡は、少しずつ薄くなってついに見えなくなった。
「あ、あれは?」
僕は丘陵の上に向かって走った。
「ああ、やっぱり」
僕が見つけたのは大きな牛の頭蓋骨。それはついさっきエメドラちゃん、ブラカスちゃんと一緒に目指して走った丘だったのだ。
「グルグル回っていたんだ。完全に道に迷ってしまった・・・・・・」
僕は立ち上がって力の限り叫んだ。
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