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「おーい、エメドラちゃんブラカスちゃーん」
彼女たちに僕の声は聞こえるだろうか。今頃はジャングル地帯の日陰で涼んでいるところに違いない。ここには僕の声を遮るものは何も無いから、声はあっちこっちに拡散してしまう。ジャングル地帯まで届いたとしてもジャングルの草木に僕の声は遮られて聞こえないに違いない。絶望だ!
「う、うわー」
僕は恐怖に駆られて闇雲に走り出した。どっちに向かっているのかなんて分からない。でも、とにかく早くここを離れたかった。とにかく早くその場を離れたい一心で、スピードが出る砂漠の低いところに向かって走って行った。助走がついて勢いがあるので、ドンドン低いところに低いところに向かって行ってしまう。
「うわ!」
僕は砂に足を取られてすっころんだ。砂が渦を巻いていて、アッという間に僕のからだは腰まで砂に埋まってしまった。
「ああ、これは流砂だ。体がドンドン砂に吸い込まれていく!」
僕は何かを掴むように砂に手を伸ばすが、砂は僕の手からこぼれていくだけだ。目の前に白い大きな塊が砂の中を流れて行った。それはひっくり返って角を出した。目印にしていた牛の頭蓋骨に違いない。
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