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頭蓋骨は砂の中に浮いたり沈んだりを繰り返し、とうとう砂の中に沈んでしまった。そして砂の中からさっきの頭蓋骨が、ポンッという音と共に宙を舞った。
「ズアアアアアアアアア」
砂の中から大きな二つのハサミが飛び出してきた。それは宙を舞った牛の巨大な頭蓋骨をがっちりと挟み込んだ。
メリメリ
ガチッ
音を立てて頭蓋骨は粉砕された。
「あああああ、あれは蟻地獄の化け物だ。ここは巨大な蟻地獄の巣だったんだ」
蟻地獄の化け物は、砂漠の砂からその赤黒い頭だけを地上に出して牙をガチャガチャ言わせていた。その大きさは露出している頭だけでも僕の体のゆうに何倍もある。牙の大きさは僕の身長よりも遙かに高いくらいだし、ぎょろぎょろとしたせわしなく動く目は、僕の頭と同じくらいの大きさがあった。
「シュワアアアアア、シュワアァァァァ」
蟻地獄の化け物はからだの中心にある、握りこぶしくらいの小さな口からそんな音を立てた。あの大きなハサミで獲物を砕き、あの小さな口でちょびっとずつ獲物を削り取りながら食べるに違いない。
「いいいいい、いやだー食べないでぇぇぇ」
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