優しさが詰まっている

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「ただいま。」 「おかえりなさい。……あら、どこに行ってきたの?」 抱えられた段ボールに不思議そうにする妻に苦笑いした。 「ちょっとわらしべ長者してきたんだ。」 「何言ってるの。……みかん、随分もらってきたのね。」 ジャムでも作ろうかしら、という彼女のあとに続きみかんを台所まで運ぶ。ジャムならきっとこの量のミカンを消費するのも容易いだろう。甘酸っぱさを想像し唾を飲み込む。 「ところでわらしべ長者してきたって言ってたけど、手ぶらで散歩に行ったのに何を交換してきたの?」 「なに、『優しさ』だよ。」 オレンジ色のエプロンを付けた妻は首を傾げた。
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