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5話 部長VS若鷺源蔵
それもそうだ。ここは腕相撲協会、全てが腕相撲で決まる世界なのだ。ならばこの申し出受けるしかない…
部長も俺と同じことを思ったのか、不敵な笑みを浮かべて言った…
「分かりました。では、やりましょう」
また、若鷺源蔵も不敵な笑みを浮かべ言った。
「あぁ、殺り合おう。だが、そうやすやすと勝利は渡さんぞ」
「えぇ、分かっています。でも僕も背負っているものがあるのでね。
そう簡単には負けません」
この腕相撲ひと勝負に美術部の命運がかっかているなんて……
俺は冷や汗が出た。
でも、俺が冷や汗をかいたのは、そんな理由ではない。俺が本当に心配しているのは部長のことだった。部長は気付いていないんだ。
部長が思っている『やる』と若鷺源蔵が言っている『殺る』の違いに!
その違いに気がついた俺は迷った。ここで止めるべきなのか、応援するべきなのか。
しかし俺が迷っている間にもう勝負は始まろうとしていた。
「では、負けた方があいての要求に応えるということでいいですね」
「あぁ、それでいい。おいそこのお前、ジャッジを頼む」
若鷺源蔵にジャッジを頼まれ俺は決意した。そうだ俺は何を迷っているんだ。全て部長に任せればいいじゃないか。今まで部長は俺たちを助けてくれた。コンクールが迫っていてまったく案が思い浮かばない時でも部長がアイディアをくれたりした。そうだ、何も心配することはない。なんたって部長なんだから。
言っていることはよく分からないかもしれないが俺はそう思った。
「じゃあ、いきます! 3……2……1……ファイト!」
始まった!
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