0人が本棚に入れています
本棚に追加
首筋の毛はモッフモフのモッフモフで、白柴ちゃんも興奮のあまりとんだ犬好きさんの手をペロペロペロペロ本能の赴くままになめまわすのです。
「ぐわっ、萌える、萌るよ」
〈うれしいですうれしいです〉
ひとときの逢瀬におぼれるひとりと一匹。悶絶の高みに登りつめていくのです。
「あらまぁ、すっかり懐いているわねぇ」
しまった。飼い主さんがいたのだった。これは恥ずかしい姿をみられてしまいましたが、白柴ちゃんの飼い主さんは私のことをとんだ犬好きさんとわかっているので(たぶん)、怪しい人間ではないことはわかっているのです(たぶん)。
「知らない人には吠えるのやめないし、宅配の人はもっとすごいのよ」
という飼い主さん。
そうなのかっ。
こんな甘えん坊のかわい子ちゃんが見知らぬ人には〈なんだワレェ~、誰の許可得てワシに触ろうとしとんのや~〉なのか。
私には、撫で回しの無限天国なのに(ハートマーク)。
子犬の頃から見染めていてよかった。
これはもう光源氏状態だ。
さすらいの光源氏なので、つぎのお犬にむかって愛を探求しにいかなくてはならない。
とんだ犬好きさんは飼い主さんにお礼を告げて去ることにする。
振り返れば白柴ちゃんが〈また遊んでね〉と瞳をキラキラさせて見送ってくれていた。
それに深くうなずいて応える。
「白柴ちゃん、また会おうね」
モフモフ。
最初のコメントを投稿しよう!