ローズと師匠の毎日

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「さくらこじゃなくろうずです!」 と訂正したいのを我慢して 「はい、終わってます。」 と答えた。 「そうか、ならいい。」 「あの、師匠……。」 満足そうな師匠に、私は聞く。 「私が花の神様になりたいのは、知ってますか?」 「ああ、知ってる。」 「じゃあなんで、掃除をしなくちゃいけないんですか?もっと花の種類を勉強するとか、花を咲かせるにはどうするかを学んだりしたほうがいいと思うんですけど……掃除って、花の神様には必要ありませんよね?」 「甘い!さくらこは甘すぎる!」 師匠がちゃぶ台をひっくり返す。 雷の神様である師匠の得意技だ。 ちなみに雲の家やレンガ造りのお城が多い中、うちの家は師匠の趣味でいまどきめずらしい和室にちゃぶ台、掛け軸、ドアはすべてふすま。 廊下は木の床なのでともかく、部屋はすべて水拭きのきかない畳だから、掃除するにはいちいち大変な手間がかかる。 場面を元に戻そう。 「花の神様になりたいから花の勉強をするなどという典型的な修行で、本当に一人前の神になれるとでも思うのか!まず基本的なことから始めるべきだ!目指すはオリジナル、つまりオンリーワンだ!」 師匠の声は耳をふさぎたくなるほど大きい。 この間なんか     
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