服屋の一件

1/1
前へ
/8ページ
次へ

服屋の一件

「こんにちは!」 私は店の奥に向かって元気よく声をかけた。 「らっしゃい!」 顔をだしたのはレベンだ。 「おっ、ローズじゃん!」 「ヤッホー、レベン!」 私とレベンは笑顔でハイタッチ。 「……仲いいね。」 摩初が言う。 笑顔が引きつってるけど、どうしたんだろう? 「うん!幼馴染だし。」 「そっか……。」 摩初の目は、なんとなくさびしそう。 「あ、そうそう。レベン、摩初服がほしいんだって。今ある?」 「夏花さんに頼まれたの?」 「そうみたいだよ。ねえ、あるの?」 「えー、まいったな。今、大人用はきらしてんだよ。師匠さんは、どれだけ頼んでも新しいのつくってくんないしさー。」 「ふーん、苦労してるんだ。」 レベンの言う師匠さんは、リラノさんのこと。 名前も可愛いし外見もかなりの美人なんだけど、頑固で不愛想なところがあって……。 ただ、その力だけは天下一品。 服をつかさどる神なんていくらでもいるんだけど、リラノさんはその中でもとびぬけている。 「じゃ……じゃあやっぱりいいよ、もういいから……。」 摩初が私の服を引っ張る。 「あ……そう?じゃあレベン、私たちもう帰るね。バイバーイ。」 「ん、またな。」 で、レベンと別れたわけだけど、そのあとも摩初はずっとうつむいていた。 なんか様子がおかしいな?
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加