2人が本棚に入れています
本棚に追加
服屋の一件
「こんにちは!」
私は店の奥に向かって元気よく声をかけた。
「らっしゃい!」
顔をだしたのはレベンだ。
「おっ、ローズじゃん!」
「ヤッホー、レベン!」
私とレベンは笑顔でハイタッチ。
「……仲いいね。」
摩初が言う。
笑顔が引きつってるけど、どうしたんだろう?
「うん!幼馴染だし。」
「そっか……。」
摩初の目は、なんとなくさびしそう。
「あ、そうそう。レベン、摩初服がほしいんだって。今ある?」
「夏花さんに頼まれたの?」
「そうみたいだよ。ねえ、あるの?」
「えー、まいったな。今、大人用はきらしてんだよ。師匠さんは、どれだけ頼んでも新しいのつくってくんないしさー。」
「ふーん、苦労してるんだ。」
レベンの言う師匠さんは、リラノさんのこと。
名前も可愛いし外見もかなりの美人なんだけど、頑固で不愛想なところがあって……。
ただ、その力だけは天下一品。
服をつかさどる神なんていくらでもいるんだけど、リラノさんはその中でもとびぬけている。
「じゃ……じゃあやっぱりいいよ、もういいから……。」
摩初が私の服を引っ張る。
「あ……そう?じゃあレベン、私たちもう帰るね。バイバーイ。」
「ん、またな。」
で、レベンと別れたわけだけど、そのあとも摩初はずっとうつむいていた。
なんか様子がおかしいな?
最初のコメントを投稿しよう!