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「甘ーい!」
さっきひっくり返したちゃぶ台を起こしてからまたひっくり返す師匠。
この「ちゃぶ台返し」をするためにさっき倒したちゃぶ台をまた起こすという師匠の律儀さに、私はまた心の中で拍手。
「世の中、あやまればすむなんてもんじゃない!」
師匠が大声で怒鳴る。
じゃあ何をすればすむんだと思ったけど、ちゃぶ台返しによって床が傷ついているのを見つけた私はだまりこんだ。
ここで反論したらきっと師匠はまたちゃぶ台をひっくり返すだろう。
これ以上床が傷ついたら、家が壊れてしまう。
「なんとかいったらどうだ!」
師匠がまたちゃぶ台を起こしてから、ひっくり返した。
ああ、床にひびが……。
あと一回で完全にご臨終ね、このままじゃ。
もし床がお亡くなりになったら、私は立派なお墓をたてて手をあわせてあげよう。
「……ん?なんだ、その野菜?」
「あ、これ!摩初にもらったんです。今日の夕飯に使おうと思って。」
「……ふむ。」
師匠がようやく落ち着いた。
「よし、じゃあ早く作ってくれ。腹が減った。」
もどっていく師匠。
よし、お説教からのがれたぞ!
私は心の中でガッツポーズをとった。
で、その夜。
野菜のてんぷらをみた師匠は
「どうして野菜炒めにしなかったんだ!」
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