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私はカッとなって叫んだ。
「あの女…本丸才加の底意地の悪さにとうとう我慢の限界が来て、発作的にモップを振り上げてしまって…。そしたら副社長が間に入って来て…」
あの時の場面が甦り、話している途中で徐々に気分が悪くなって来る。
「あんな女、庇うことなんかないのに。ホント、誰にでも優しい人なんだから…」
息苦しさが頂点に達したので、私はそこで言葉を切り、呼吸を整えた。
「…仲間達が今、関係各位に聞き込み調査をしている最中だ」
しばし黙って私を観察していた男性は再び口を開いた。
「君のその主張が正しいかどうかはすぐに判明するだろう。人に大怪我を負わせた上に虚偽の証言をしたりしたら、心証は大分悪くなるよ。わざとじゃなくても思い違いをしていないか、うっかり誇張した表現になっていないか、良く考えてから発言した方が良い」
……私が嘘をついているっていうの?
そんな訳ないじゃない。
すべて真実なんだから。
……ああ、でも、他の奴らは自分に都合の良いように、不利にならないように、事実をねじ曲げて伝えるかもしれないわね。
だけどきっと大丈夫。
紆余曲折あっても、必ず最後に健気でひたむきなヒロインが救われるようになっているんだから。
正義が勝つんだから。
だから私はただ静かに審判の日を待てば良い。
道筋が見えた事と言いたい事を言い切ったことで、この上ない充足感に包まれた私は、静かに目を閉じ、安堵のため息を漏らしたのだった。
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