現実

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「まさかあの掃除のおばさんがこんな大胆な事件を起こすなんて」 話の進行は主に部下に任せていたが、その表現に大いなる引っ掛かりを覚え、私は思わず問いかけた。 「外田茅乃は23歳ですよね?『おばさん』と呼ばれるような年齢ではないと思いますが…」 「いやいや、正直刑事さん達だってそう思いましたでしょ?とてもその年代には見えないなって」 事情聴取に応じてくれている目の前の女性社員は苦笑混じりに言葉を繋いだ。 「小太りでずんぐりむっくりしてて、明らかに手入れのされていない、変なクセのついたゴワゴワの髪質のおかっぱ頭で、なおかつスッピンだし。あの日焼けを放置したと思われるシミだらけの顔面を平気で人前に晒せる神経が理解できない。最悪、口周りの産毛は剃れよっていう」 「初めて見た時40代半ばくらいかと思いましたよね」 もう一人の女性も興奮気味に会話に加わり、更に続ける。 「それよりなによりクリーンスタッフとしてのスキル低すぎだし」 「そうそう。一つの場所を掃除するのに信じられないくらい時間がかかってたよね」 「他のスタッフさんはテキパキと作業してて、トイレ掃除中に入っちゃっても笑顔で爽やかに「どうぞお使い下さい」って言ってくれるのに、あの人の場合は露骨に嫌そうな顔して」
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