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「ええ。その筈です」
「本丸さんと別れて十数分後にはもうあの騒ぎになってたんだもんね」
「その時事件の予兆といいますか、何か普段と違うな、と感じた事はありませんか?」
「いえ。特には…」
「ぶれることなくいつもと変わらず陰気で不気味でしたよね、あのおばさん」
「だからその後あんな事態になって、本当にびっくりしました。一体三人の間に何があったの?って」
顔を見合せ、頷きあいながら返答する二人に、部下は更に質問を重ねた。
「例えば本丸さんが彼女に対して、何か逆上させるような振る舞いをしたりなどは?」
「えー?そんな事してませんよ」
「あの状況ならむしろ本丸さんの方が彼女に文句を言う立場でしょう。バカでかい清掃用具の積まれたワゴンをぶつけられてケガしたんだから」
「だけど全然責めなかったんですよね」
「本丸さんはそういう人だから。根っこの部分ではお人好しというか…」
眉尻を下げてそう言うと、私と部下に交互に視線を配りながら彼女は続けた。
「私とこの子、ついついあのおばさんにイライラして当てこすりみたいなことしちゃったりする時もあるんですけど、本丸さんはそんな私達をいつも嗜めてました」
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