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「……つまり、自分は一生懸命目立たず地味に生きているのに、どうしても可愛らしさが滲み出てしまって、そのビジュアルと若さに嫉妬した女性達から嫌がらせを受けていたから、我慢の限界に達して今回のような事件を起こしてしまった、ということですか?」
「あくまでも彼女の供述によるとそうなります」
「いかにもあの人らしい勘違いっぷり…」
対面している被疑者の妹、外田夢乃は力なく笑いながらそう吐き捨てた。
「しかも副社長に恋心を抱かれていた?ほとんど接点がない上に一目惚れされるような容姿でもなく、仕事はできない、向上心はない、全身から負のオーラが駄々漏れで見た目中年の姉が、そんなハイスペックな人から何の脈絡もなく唐突に見初められる訳がないじゃないですか。どんだけご都合主義のラブストーリーなのよ」
「社員に聞き込みしましたが、そのような事実は浮上して来ませんでした」
「そりゃそうでしょ。完全なるあの人の妄想ですよ」
「彼女は昔からそのような思考回路の持ち主だったんでしょうか?」
「ええ。都合の悪い事は見えないし聞こえない、自らが作り上げた理想の世界の中で生きている人ですから。他人に…特に異性にどう思われているのか、きちんと認識できていないんですよね」
妹は言葉を紡ぐごとにどんどん興奮してきているようだった。
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