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「生まれつきの顔の造作は仕方ないとして、せめて清潔感が出るようにあちこちきちんとお手入れしたり、表情を穏やかに保つように努力したりすれば良いのに、そういうのを完全に放棄してましたからね」
そこでふと何かに気付いたような表情になり、呟く。
「ああ……自分で自分の事を可愛いと思い込んでいるから、そんな努力をしようなんて、そもそも思い付きもしないのか…」
「しかしここまで特別トラブルはなく、生きて来た訳ですよね」
「「学生だから」「社会に出たばかりだから」、っていう言い訳ができる環境だったのが大きかったと思います。コミュニケーション能力が皆無で多少異質な雰囲気を放っていても、若さで許されていたというか…。見かけはああでも実年齢はまだ20代前半ですからね」
夢乃は高校生とは思えない鋭い分析力を披露した。
「短期間で次々と転職していたから、過去の職場の人とはそんなに深く関わる事もなかったですしね。だけどやっと定職に就き、だんだんと甘えが通用しない状況になって来ていた。加えて初めて本気で異性…つまり副社長に恋をした。今まではとりあえずただの暗い人で済んでいたけど、妄想力を炸裂させて見当違いな動き方をしてどんどん周りに敵を増やし、案の定自分の思い通りの展開にはならず、盛大なる逆ギレをかまして結果あんな事件を起こしたんでしょう」
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