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そこまで一気に語った夢乃は一旦言葉を切り、息を整えてから話を再開した。
「……でも、一番罪深いのは、姉をそんな風に育ててしまった母なんですけどね」
「お母さん?」
「ええ。彼女も決して美人ではないけど、まぁ天真爛漫で素直だったので周りに愛されて人間関係に苦労した事はなく、幸せな結婚もできました。でも、自分の人生を楽しむことが大前提で、正直子育てには向いていない女だったんですよ。姉の事を可愛がっているようでいて、実はこれっぽっちも興味なんかなかったんです。ただ、世間から「明るくて優しくて理想的なお母さん」という評価を得たいが為だけにせっせと家事をこなしていただけなんです。そして、その場かぎりの適当な対応でどんどん姉を増幅させていったと」
「あなたも同じ娘なのに、よくそんな客観的に母親の行動を観察できましたね」
「だって、私は最初から蚊帳の外でしたから」
夢乃は少しやさぐれた口調でそう返した。
「「完璧な母親」をアピールするのに、子供は一人いれば充分だし、というか多分二人に平等に愛情をかける演技をするのは面倒だったから、「夢乃はお父さん子」と私や周りに暗示をかけて、父に育児を押し付けた訳です。でも、私にとってはむしろそれは結果オーライでしたが」
「あなたの家庭には、そんな複雑な事情があったんですね」
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