秋田犬 信号との闘い

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 信号変われば渡って行っちゃえといわんばかりの飼い主んさんである。 (これは時間がない!)  ここの信号が変わるのが遅いことを祈るばかりだ。 「撫でてもいいですか?」  飼い主さんは「あっ、ソユコト」という表情で。 「大丈夫だと思いますよ」  それは、99%いいですけれど、わずか1%の確率でガブッといきます。という意味なのか?  いや、躊躇している場合じゃない。  有無も言わさずモフモフするしか道がない。  犬くんく……  秋田犬はかたまっていた。 「かわいいね~」  秋田犬はまっすぐ前を見つめたままで。顔色ひとつ変えなかった。 (ちょっと君、どこ見ているの? 無言でモフられて、それでいいの?)  お犬のリアクションがない。これでは愛が確かめられない。犬好きさんの一人遊戯だ。 「あ、あの。この子は何歳ですか?」  中途半端に相手にされていない状況をごまかすために飼い主んさんに質問。 「7歳ですね」 「そっか~、7歳か~」  ぬいぐるみのように動かない秋田犬。  このままでは、愛の片道切符ではないか。 (間がもたない!)  刻々と迫る愛終了のリミット。  信号は今どうなっている?  危険を知らせる点滅がはじまってしまってないか。 「秋田犬ってこのへんいないですよね」     
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