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なんでもいいから会話をふりながらモフりの手はゆるめない。
「そうですね。2匹飼っている人がいると聞いたことがありますよ。白い子となんか」
飼い主さんがタメになる情報を言ってくれた。
(秋田犬2匹……)
夢のような2頭立てに妄想も広がります。
「犬好きなんですか?」
とんだ犬好きさんは、飼い主んさんによく聞かれます。
「はい、もう大好きで」
そのうち、信号がタイムアウトを知らせます。
(お別れだわ……あっ!)
そのとき、とんだ犬好きさんは気付いたのです。
無表情のはちわれ秋田犬。
身動きひとつせずに撫でられていたと思っていた秋田犬。
その尻尾が、微妙に揺れている!
ほかの筋肉がまったく静止しているのに。尻尾だけがフリフリしていたのです。
「ほら、信号変わったから行くよ」
飼い主さんにうながされ、秋田犬は去っていく。
最終的に、目もあわせてもらえず。微動だにもしなかった秋田犬……いや、それはちがった。
「尻尾だけ、そんなプレイで攻められるなんてーーー!」
また会えることがあっても、きっと同じだろう。
しかし、とんだ犬好きさんは新しい愛の形をまたひとつ学んだのだった。
※次回、猫が車の下からこっちを見ている。
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