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2019/02/23-15:00になるまでの30分
最初は軽い気持ちだった。久々に何か書こうとして、近くで売っていたメロンソーダを選んだ。これが題材。隠微な文でも書こうかねとか思っていたハズなのに、どうしてこうなった?
化学調味料バンバン入ってそうな、不健康な緑。底から不規則に立ち上る炭酸の気泡は、危ない科学者の気まぐれドラッグといった印象。飲んでもいいのかと躊躇いたくなるが、売っていたのだから大丈夫なのだろう。
プラカップでできた蓋の天井には結晶化した砂糖が怪しく光る。赤いストローも気持ちネットリしている。その毒々しい赤に歯形を残して口に含んだメロンソーダは炭酸がきつくて、舌がヒリヒリと騒いだ。のど越しも悪い。一口の液体が固まって腹の中に押し込まれていくような気がして、なんだか固形の液体を飲んでいる印象を受けた。後味に残るのはどれも同じ味がするシロップの味。まだ子供だった頃、夏祭りの出店で唯一買って貰えたかき氷が、人込みと夏の暑さに溶け切ってしまって、ただのシロップジュースになったときの、もうすぐ終わりが近づいているという切なさを思い出させてくれたことには感謝しようと思う。
あと3分で15時。季節柄あまりしたくはないが、もう時間がない。
遮二無二ストローに噛みつくと、喉を鳴らしてメロンソーダを呑み込んでいく。コクッ、コクッと鳴るごとに痺れていくが、上に描いたような不快感を伴わず、むしろジャンキーな快感すら感じた。きっと、体とかナンダかの心配をするよりも、勢いとノリでヤッテいくのが、このメロンソーダへの礼儀であり、作法であり、一番おいしく飲む秘訣のようなものだったのだろう。もう少し早く気づけばよかったと、少し後悔した。
さぁ15時になった、お八つの時間だ。口直しに何を食べよう?
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