フレンチブルドッグと整形外科

4/4
前へ
/4ページ
次へ
 お別れの締めはお礼である。これを言わないと本当に変質者だと思われてしまいそうな気がするのである。 (個人的意見です) 「こちらこそ、可愛がってくれてありがとね」  と飼い主さんに返していただけるとニヤニヤが止まらなくなる犬好きさんです。 「バイバイ~」  とお犬に語りかけるのも忘れない。  振り返ったフレンチブルちゃんの瞳が。月明かりに潤んでいる。 「ウルウルしている。まるで、なにかの刺激を受けたかのよう……ハッ!」  ハアアッ!  とんだ犬好きは重大なことに気がついた。 「整形外科からでてきたばかりだった!」  テニス肘のマッサージを受けた。  メントールの香りがするクリーム左腕に塗りたくられて。 「お犬の、お犬の嗅覚!」  人間の何倍だったっけ?  ミジンコ脳では計り知れない。  相当臭かったにちがいない。  人間ならこのにおい好き。というのもいるけれど。  お犬にしたら顔もそむけたくなるんじゃないのか。  それなのに、嫌な顔ひとつで撫でられまくってくれた。 「ごめんよ、フレンチブルちゃん、ごめんよおおおおおおっ!」  闇夜にとんだ犬好きの叫びが吸い込まれていくのだった。  でも、かわいかった(ハートマーク)。  犬チャージ完了。 ※次回、猫に逃げられる!
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加