0人が本棚に入れています
本棚に追加
「先ほどのジョーク信じていたのデスネ」また高笑いが響く。ほんとに大丈夫デスと念を押される。少しほっとしていると、ものすごい勢いでバレンタインさんの顔が接近してきた。
「そんなことより、君!さっきの言葉は何なんデスカ」また怒っているバレンタインさんに戻ってしまったようだ。そういえば、最初に出てきたときも同じように怒っていたなぁと不思議な顔をしていると、バレンタインさんは「やっぱり、なにもわかっていないようデスネ!察しの悪い男の子デス!こうしてくれるワ」と物凄い低い声で叫び、俺の額にゴテゴテに装飾された重そうな十字架を突き立ててきた。衝撃と共にこれでも食らえと言うセリフが聞こえたような気もした。
気が付くと俺はまた知らないところにいた。
え?ここはどこだ?
暗い…なにも見えない、声が聞こえる…女の子の声だ。次第に視界がはっきりしてきた。
女の子の後ろ姿なのか、目を凝らしてみるとどうやら台所に立っているようだ。
俺はその姿を斜め上空から見ている…完全に幽霊っていう恰好だ。
なにかを調理しているみたいだ、慌ただしいそれにとても危なっかしい、熱湯をぶちまけたり、包丁を落としたり…苦手なんですね…
物凄い時間、台所に立っているようだ。
「もう遅いんだから、寝なさい。もう駄目だったら明日既製品のを買えばよいじゃない」女の子のお母さんらしき女性がそう女の子に言う。
「ダメ!既製品じゃだめなの…もう少し頑張るよ、ありがとうお母さん」小さなガッツポーズをしてから女の子は作業を再開した。相変わらず、危なっかしい。
なんでそんなに頑張るんだ、なにを作っているの?気になった俺はそーっと手元を見に言った。耐熱容器にボウル、包丁には茶色い破片、ケトルでお湯も沸かしているようだ。女の子はチョコを溶かして用意した型に流して、何かを作ろうとしているみたいだが、うまくいっていないようだ。はぁなんだよチョコかよ~そんな頑張らなくても適当にさ、売ってるやつを買って終わりにしてくれよ…
最初のコメントを投稿しよう!