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どうやらこの子は俺と同じ学校のようだ。制服がうちの高校の物だし、ここは高校の昇降口だ。なんだよ、チョコをあげる相手は俺の高校のやつかよ。舌打ちをした。
女の子が止まる、どうやら渡す相手は俺のクラスらしい、え?誰だ誰た?角度が悪いちょうどよく見えない位置に来てしまった。動こうとした時、階段から俺が下りてきた。女の子は俺に気が付いたのかさっと下駄箱から離れ俺の近くに来た。俺が下駄箱を開いたときこの子は近くに居たんだなぁ。
俺が下駄箱を開いたようだ。
「はぁ~なんだよ、こんなしょーもないもんかよ!」俺だ。
あーこのあと、呪われるんだよなぁ…何でこんなことに、なってしまったんだろう。女の子のチョコづくりを見せられて…
ふと隣を見ると女の子は下を向いて、肩を揺らして、声を必死に抑え泣いていた。
え?なんでこの子が泣いているの、泣く理由がわからない。
もしかして、あのチョコはこの…
気が付くとまた台所だ。
夜通し必死で作っていた、既製品でもいいのに危なっかしく何度も何度も作りなおしていた。出来たのは、下駄箱で見たタマゴ型のチョコ、それを包み笑顔になった女の子。どうしてそんなに頑張るのか、好きな人の為に頑張っていたのか。俺のために。今まで、何度も見た光景を思い出すと胸が苦しくなった。
胸を押さえ、目を閉じてうずくまった。
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