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痛みがスッと消えると靄のなかに立っていた、目の前には真っ白い顔で微笑み、胸の前に十字架を持っているバレンタインさんがいた。一目散に駆け寄る、痛みは無かったが涙と鼻水が顔を覆っていた。「バレンタインさん!!俺を戻してください!お願いします。俺あの子に謝らないといけない…気持ちを受け取らないといけないよ!」
「わかったようデスネ」
泣きじゃくり、ぐちゃぐちゃになった俺を見てバレンタインさんは言った。
落ち着いた口調でさらに続けた「きっかけは何でもいいんです、チョコなんてただのカカオと砂糖の塊デス。大事なのは気持ちデスヨ。」少し照れながらじゃべり、さらに続けた。
「さて、そろそろあなたを元に戻してあげなくてはいけなくなりました。もう一つだけ、伝えます。あなたがなにも考えず、何も見ずに放った言葉は、ものすごい力を持っているのデス。反対側に居る人のことを考えて言葉は発してくださいネ。私が助けることができるのは今回だけですヨ。それでは、Buon divertimento!」
あっけにとられていると、凄まじい音、閃光とが走った。謝罪も、お礼も出来なかった。
顔をぬぐったが涙も鼻水も出ていない。
目の前には扉のしまった下駄箱があった。バレンタインさんの微笑みと言葉、繰り返した光景が脳裏を過ぎる。
緊張で汗ばむ手、震える足、高鳴る鼓動。
全てを無視して、静かに唱えよう!
「OPEN SESAME」
そして俺は綺麗に包装された卵型のチョコ手にしていた。やっともらうことが出来た。
とても長い時間がかかってしまった、これからは失敗しない。叫ぶセリフは決まっている。
「誰だろう!ありがとう!めっちゃうれしいよ!あぁバレンタインは最高だ!」
大きな声を出し過ぎたか?その場でチョコにかぶりつく、中から小さな手紙が出てきた。
え?手紙?驚いて固まってしまった。
すると近くから可愛らしいクスクス声が聞こえてきた。
END
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