見えない者との攻防

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見えない者との攻防

ここは超ツヨイ戦隊ヒーロー・ブルーの自室。 青系統で統一されたインテリアのなか壁一面に備え付けられた大きな本棚が人目を引き、その蔵書の多さからブルーの知能指数の高さがうかがえる。 窓際には勉強机があり、ブルーはそこに座って一人黙々と勉強をしていた。その背中を、影ながら見守る怪人がいるとも知らずに。 ブルーを見守っている怪人の名は、 スケスケ怪人スケルトン! 体は男、心は乙女な、おネエ怪人である。 スケルトンの得意技は、 息を止めている間だけ 姿を透明にできること。 今回はその能力が買われ、 ブルーのスマホを奪っちゃおう作戦の 要として動いていた。 彼に下った任務は、 24時間ブルーに張り付き、 隙を見てスマホを奪うというもの。 24時間息を止め続けるのは 怪人の身であろうとも難しい為、 息止め2分が限度のスケルトンには、 かなりハードな任務だ。 しかもブルーとは付かず離れずの距離をキープして監視しているはずなのに、なぜか毎回見つかってしまい警察に通報されてしまう。 挙げ句の果てに、その逮捕の瞬間をブルーの手によりズイッターで面白おかしく拡散されるという、踏んだり蹴ったりな生活をスケルトンは送っていた。 スケルトンは怪人である矜持を粉々に粉砕され、すくすくと育つブルーへの怨念を胸に秘めつつ、 日々息止めのトレーニングに勤しんだ。 その甲斐あってか、 約20分ほど息を止め続けることが出来るまでに成長する。 これで憎きブルーの鼻っ柱を折ってやれると 意気揚々とブルーの部屋に潜入したのだが……。 他人の家に上がり込み、 ただひたすら勉強をしている男子高校生の背中を眺めるだけの仕事は苦行だと、 スケルトンは思った。 姿は消せても、音や臭いは消せないスケルトン。 トイレも食事もおならすらも満足に出来ず、 とんだブラック任務だ! と自分の現状に絶望する。 しかも、バレると前科が増えるのだ。 もうこれ以上失敗は出来ないと、スケルトンは自分にカツをいれた。 家族にも転職を進められている今、 仕事を続けたいスケルトンは なんとしてでも成果をあげ、 出世しなければならない。 ブルーがスマホをいじらない今、 監視しているスケルトンの時間は無為にすぎていき、気持ちだけが焦っていく。 ーーいっそ、 ひとおもいにやってしまおうかしら。 そんな考えが脳裏をかすめるが 地に落ちた自分の名誉(と、親玉の名誉)を 回復するため、 なんとしてもブルーのスマホを奪わなければならないと思い直し、踏みとどまるスケルトン。 ズイッターで事実無根だと 訂正をいれ、 ついでに今までの鬱憤を晴らしたいーー スマホを手にいれた暁には、 ブルーに関するあることないことを つぶやいてやろうとスケルトンは胸に誓い、自分を奮い立たせた。 (そうよ! 私と同じ苦行をブルーにもしてもらわなきゃ、わりに合わないわ! ファイトよ、スケルトン!) 決意を胸に再びやる気を取り戻したスケルトンは、仕事に励んだ。 ブルーがトイレに立った隙に家捜ししたり。 ブルーがお風呂に入っている隙に冷蔵庫を漁って食事をしたり。 ブルーが寝ている間にトイレにいったり。 緊張感のある生活を送るなかで、 スケルトンの心にある気持ちが芽生えていった。
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