また会う日まで

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また会う日まで

目の前にいたはずだ。そうしてそれは夏の日のように、ひっそり消え失せた。それに、私は不思議な喪失感と満足感を覚えた。そしてまた会いたいと思ってしまった。 私の腕を伝う、薄赤のその雫は冷たく、光を放っている。ああ、やってしまったと思った。 雫を拭い、急いで立ち去る。夏の終わりの最後の一口、まだつめたい、甘い香りが口に残っていた。また来年、会いに来よう。
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