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朝起きて、溜息をついた
朝ごはんのトーストも少し残してしまった
テンションが地に堕ちる寸前で私は教室の
机に寝た
「バレンタインきらーいっ………」
なんてね。呟いてもモテる奴はモテるんだよ
貰えない奴は貰えないし、渡せないんだよ
「ふぅ……」
枕元に小さな袋が置かれた。中身は案の定
全部チョコレートでやがる
「今日は暖かいね~帰りまでにチョコ溶けたらどうしよう」
「どうせ昼休みに全部食べるんでしょ。毎年の事じゃん」
そう、毎年毎年この女はチョコを山程貰う。
しかも、お返しは誰一人としてしない
「て言うか逆じゃない?女性から男性に渡すもんじゃないの?バレンタインって」
「それ、毎年言ってる。私だって分かんないよ。なんでこんなにチョコくれるんだろう」
御行儀が悪く、机に腰掛けながらチョコを二つ口に入れた。いつ見ても綺麗な脚だ。
しかし、分かっていてもあなたが美人だからだよ。なんて言える訳が無い………
「今年もホワイトデーにお返しはしないの?」
私が笑みを浮かべながら問い
「しない!めんどい!」
その女は大声で返す。こうして、何人かが教室から涙目で消える。そして、何人かがこちらを睨む毎年の事だ
そんな中、未だぐでっとしてる私に、一つチョコをくれた。今更だが、この女の名は舞耶
と言う
「義理だけどね。おいしいでしょ」
「うん……」
悔しいが、チョコはほろりと溶けて、甘くて美味しかった。美味しかったのだ
「そういや、今年は先生からも貰った。成績優秀賞だってさ。ばっかみたい」
けらけらと笑うその姿を涙目で見る生徒が一人いた。代わりに謝りたい……
「そこまでにしときなよ。被害が拡大するばかり……」
「え?被害?何が?」
何がじゃないよ。周り全員から私達睨まれてるんだけど……全くもう
「はい、とりあえずこれでも食べてな」
「あ、マシュマロだー!」
ポケットからマシュマロを出して、この子に渡すのも毎年になりつつある
「マシュマロ好きー!夕美も大好きー!」
鈍感だ。凄く鈍感だ。変わらないなあ
「じゃ戻る。 また、休み時間にね。 あ、ちゃんと歯磨きするんだよ」
「うるさないなー分かってますー!」
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