瀬戸内君との、始まり

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「やばいやばい! マジでイケメン来た! めっちゃたぎる!」 「……テンションあがってるけどよ、お前みたいなおかめぶす、あんなイケメン相手するわけねーだろ。鏡見ろよ。ばーか」 「……なによ! 自分はじゃがいもみたいな顔してる癖に、よく言うわ!」 「………だから、お前みたいなオカメにはじゃがいもくらいがちょうどいいって言ってんだよ」 「…………え?」  前の席で、幼稚園からの幼なじみらしい本郷さんと竹山くんが、顔を真っ赤にして(途中から顔の赤さの理由が変わった気がする)言い合いしてるのを聞きながら、私はただ瀬戸内くんに見惚れていた。 「瀬戸内和明(せとうちかずあき)です。どうかよろしくお願いします」  目鼻立ちがくっきりとした、それでいてくどくない端正な顔に、お洒落な黒縁眼鏡を掛けてて、教壇の前で背筋をぴんと伸ばし、臆することなく饒舌に自己紹介を述べた瀬戸内君は本当格好良かった。  問題はその後だった。 「それじゃあ、瀬戸内の席は……ええと。今野の後ろだな。あの空いてる席に座ってくれ」 「……はい。わかりました」
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