瀬戸内君との、始まり

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 以来、瀬戸内君についた渾名が「残念王子」  もし、これ一回きりだったら、そんな男子からやっかみ交じりにつけられた渾名は、すぐに消えてしまったかもしれない。  だけど、瀬戸内君が派手にやらかすのは、残念ながらこれ一度だけじゃなかったんだ。 「あ、はい。鉄血政策を行ったのはビシュ、ビスマルク……!」  授業中先生に当てられては、盛大に噛みながら回答をし。(それでもいつも正解しているからすごい) 「……大丈夫が瀬戸内!」 「何故、よりによってゴール手前でこけるんだ! お前は!」  男女合同の体育の時間では、足がもつれて派手にずっこけ。(それまではかなりの高記録だったのに) 「きゃー! 保険医の先生! 保険医の先生よんで!」 「誰か消毒液持ってないか! ハンカチよこせ! 圧迫止血するぞ!」  家庭科の調理実習の時間では、手が滑って派手な流血沙汰を起こす。(でも、瀬戸内君が切った野菜は、どれも正確に同じ大きさだった)
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