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楽しい時間の終わり
森に住む鳥たちの囀りで目を覚ました。
「ふわぁ」
欠伸を漏らすと塔の最上階部屋の扉が開いた。
『おはよ、エルーガ』
妖精たちの中でたった一匹、8頭身で他の妖精たちを纏めてくれているから、目を離さなければならないときも安心していられる。
「おはよう、オベロン」
『ウンディーネたちは希望の丘で遊んでるよ』
オベロンが窓を開け放ち、朝の冷える風が部屋の中に入ってきた。
「オベロンは行かなかったの?」
ウンディーネたちにいつも引っ張られていくオベロンが珍しい。
オベロンがこの塔にいてくれるお陰で怖い夢を見ることはない。
『言った方が良かったのかい?』
「そんなことはない。、いつもあの子たちと一緒にいるから」
金色に縁取られた黒いリボンで銀色の髪を結ぶと、オベロンを部屋から追い出した。
『エルーガ、気をつけろ。森の前に男が3人こっちを監視しているぞ』
「昨日の夜にもいた男かしら?」
山の中に住み、尋ねてくる人をとって食ってしまうと言った噂が都で流れてしまっているが、杖に乗って空を飛んだり、魔法を使ったりと、魔女のような性質を持つとっても優しい老婆、ハッグが作ってくれた、薔薇の模様が入った黒いレースをふんだんに使い、レースの下には薔薇の模様が入ったワインレッドのスカート、ワインレッド、黒、金をふんだんに使ったドレス、金色の縁取りのしてある黒いブーツを履き、日傘兼雨傘を持ち、オベロンと一緒に塔を出て希望の丘に足を向けた。
「昨日の噂、ホントなの?」
昨日の夜、妖精たちがご飯を食べ終わった後、シルフの言った噂の話を詳しく聞いた。
『ああ、エルーガが魔女だと言われている』
「そう・・・・・・」
『耳を貸さなくて良いぞ』
「分かってる。私は都の人たちの言うように魔女よ。魔法が使えるんだもの、普通の人は使えないわ」
魔女。
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