退屈と抑圧、幸せの在り方

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退屈と抑圧、幸せの在り方

 深い穴の上、私は薄笑いを浮かべて、沈んで行く人々を眺めている。  悲鳴をあげて、恐怖に顔をひきつらせ、出鱈目に手足をバタつかせて藻掻く姿に興奮すら覚えた。  あの真っ黒な沼の様な化物は、きっと私への贈り物だ。  礼儀正しく、人の言うことを良く聞いて、約束を守って頼みは断らず、押し付けられた幸せを背負った私への、神様からの贈り物。  信じる者は報われるらしい。  私は今、とても幸せだ。  信じていたから、いつかこの手垢まみれの幸せを、捨てられると信じていたから。
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